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バイリンガル教育での言語習得の「臨界期」とは?早期英語学習は必要?メリット・デメリット

2022年10月31日

急速な国際社会化の流れ、そして、2020年からの小学校での英語教科の必須化の流れを受けて、英語学習熱がどんどん高まっているように感じます。。そして、今まで英語教育に無関心だった方も、小学校から「教科」として英語が加わることで関心度が増し、更に英語学習の低年齢化が益々進んだと感じます。

ただ、この英語学習自体も正直手探りなご家庭も多く、「言語」としての英語、「教科」としての英語では捉え方や学習アプローチも異なり、どのように関わっていくべきか悩むご家庭も多いのかもしれません。また同時に、日本語を母語と捉える考えが強い日本では、早期の英語教育に対する賛否論も論点の一つになっているのも事実です。

たとえば、良く議論される要素としては、以下のような論点があるのではないでしょうか。

ママ

まだ日本語も確立していない幼児や小学校低学年から英語を習わせて大丈夫?

日本語への悪影響があるって本当?

パパ
ママ

早期英語教育のメリットとデメリットは?

このような疑問は多々ありますが、何かを始める時は、目的とゴールの設定から始めると、親としての疑問も一つずつクリアになっていくのではないでしょうか。まずは、英語の必要性から考えましょう。

そもそも「英語」って必要なの?

日本を取り巻く外的変化から見る英語教育の必要性

日本は現在多くの課題を抱える国となっています。
①日本人口減少
➁日本経済の減退(経済成長率(GDP)の低迷、低賃金水準、低い生産性、日本企業に代わる外国企業の台頭)

この先の日本はどうなるのでしょう?現在。既に海外旅行に出かけた人が、欧米諸国の物価の高さに驚き、新興国の勢いを感じ、「あれ?日本、どうしたんだろう?」とざわめきが起こっていますね。
これは一時的なものなのでしょうか?

きっと一時的なものではなく、残念な事ではありますが、今後はこの違和感が更に大きくなる事はほぼ間違いないでしょう。

これからの時代を生きる子供たちに必要なものは何なのでしょう?
将来、日本でしか生きられないスキルセットの大人になってしまう今の公教育はこのままでよいのでしょうか?

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公教育における英語教育の始まり

2020年4月から全国の小学校において英語教育が必修教科として追加されました。この英語教育の必須化の目的は、文部科学省にて定義されていますのでご紹介します。

■小学校における英語教育の目標
①英語のスキルの向上(特に聞く・話す力の向上)
➁英語を用いて、言語や文化に対する理解、積極的にコミュニケ-ションを図ろうとする態度、国際理解を深めること


小学3、4年生で年35時間(週1コマ)、小学5、6年生で年70時間(週2コマ)を英語教育の時間として使用します。

文部科学省としても、冒頭記載したグローバル化を見据え、国際社会で活躍できる人材を育成する為に、今までの中学校以降の「読む・書く」を中心とした受験の為の英語ではなく、より実践的な英語力の習得を目標と定め、「読む・書く」に加え「聞く・話す」の4技能全体を底上げする学校教育での英語学習の教育改革を行いました。

さわママ

日本教育を否定するコメントが多いことは事実ですが、文部科学省が定義する目標とゴールを読む解くと、方向性は間違っていないと感じました。ただ、それを日本全体の公教育で一気に舵を切るのは難しく、またその方向に見合う教師側の人材不足も課題となりますね。そもそも英語が話せない先生がコミュニケーション中心の教育を実施する事に無理があります。
やはり実行にあたり課題が山積していることから、なかなか見据えるゴールにはかなりの年月が必要だろうなということが想像できます。


英語学習はいつから始めるべき?

文部科学省の資料からも実践的な英語の習得が必要であると定義されているように、4技能全てを育成していく必要があります。特に、4技能の中でも「聞く・話す」は本来の日本人の一番苦手とする要素でもある為、「より早い段階で始めた方が良いのではないか?」と焦るご家庭も多いのではないかと思います。

子どもの英語早期教育については様々な意見がありますね。
いつから始めるべきか、メリット・デメリットを一度整理してみましょう。

【メリット】
・英語習得(バイリンガルになる)にかかる時間
・ネイティブ同等の聞き取り能力と発音能力(臨界期)
・苦手意識がない英語学習

【デメリット】
・日本語の発育への悪影響
・セミリンガルになる可能性
・継続必須

では、それぞれを具体的に見ていきましょう。

早期英語教育のメリット

英語習得(バイリンガルになる)にかかる時間

英語習得にかかる時間には諸説ありますが、一般的に最低3000時間と言われています。日本の公教育における学習時間は、中高教育で約1000時間、2020年の小学校での英語必須化により約140時間が加わり、全体でも約1140時間ほどです。到底英語の習得には時間的にも不十分であることが一目瞭然です。


ネイティブ同等の聞き取り能力と発音能力(臨界期)

「臨界期」という言葉を耳にされたことはあるでしょうか?
臨界期とは脳の働きが盛んな時期を指し、一般的には日本語や外国語を覚える時期と言われています。

「子どもにネイティブのような発音を身に付けさせたい」と考える場合、10歳(臨界期)を過ぎると、「言語」の習得が困難になってしまう為、この臨界期を意識し学習の場を提供する必要があります。幼児期から英語を始めると、言語の音から入り、そして周りの人が話す言葉の模倣から始まります。その為、日本人が苦手とする「RとLの違い」「CとKの違い」を聞き分けることができ、ネイティブに近しい発音を発する事ができるのです。

また、英語と日本語では、音の数が異なります。日本語は「29個の音素」と「5個の母音」しかないですが、英語は約「44個の音素」と「20個の母音」があります。これを聞き分けるには言語習得に有効な時期(臨界期)に学習するのが最適だと言えます。

さわママ

息子は現在6歳です。ネイティブの先生生徒が多いイギリス系インターに通っていますが、この臨界期の概念を基にすると、言語習得のピークド・ピーク時期にあたります。日々、学校やお友達、そしてテレビからの英語をどんどんインプットし、急激にアウトプットできるようになっているのはこのように言語学に基づき考えると納得ができます。


抵抗なく始める事ができる(勉強の意識がない)

通常子供たちは、成長していく過程で色々な考え、感情、価値観を身に付けていきます。その中で「好き嫌い」等の意思も強くなります。

公教育での英語教育が始まる小学校3年生から英語を始めて学び始めた子どもは、初めての「教科」への戸惑いや、初めて見る「外国人」に抵抗を感じることも往々にしてあります。また、幼児期から英語に取り組み既にきれいな発音を身に付けたお子さんとの比較で恥ずかしい、情けないと感じること感情を持つことも考えられます。

「お勉強」という概念がない幼児期に英語に触れる事は、英語に対し苦手意識を持たせない為に有効なのではないでしょうか。


早期英語教育のデメリット

日本語の発育への悪影響

言語学では、言語①と言語➁の言語との関わりについて、各学者が色々な説を唱えてきました。
以前は、日本語と英語はそれぞれ別の記憶として保管され、脳内で別々に成長すると言う「2言語バランス説」を有力説とされていましたが、現在では、Jim Cummins(ジム・カミンズ)博士の「2言語共有説」が一般的であり、人の脳内に共通の思考タンク(言語能力の基盤)があり、第1言語と第2言語をそれぞれ話す際、言葉の入口と出口が違うだけであるとされています。

その為、日本語力低下の心配が言われてきましたが、この説によると直接的な影響はないと言えます。

セミリンガルになる可能性

セミリンガルとは、同時に2つ以上の言語を学ぶことで結果的にどちらの(全ての言語)が中途半端な状態(年齢相応の言語能力がない状態)になる事を指します。

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セミリンガルを回避する為には、「思考の基盤となる認知・学術的言語能力(論理的思考力)の育成・発達」をする必要があります。インター校や海外で生活をするご家庭はこの部分を意識して子どもへの教育を進める必要があります。

ただ、日本の一般的な家庭に育つ子供は、学校生活や日常においても大半が日本語環境である為、セミリンガルになることは考えにくいと思います。

継続必須

上図の通り、論理的な言語習得の能力を得て、言葉の定着が始まります。海外で幼少期を過ごしたが、帰国したら綺麗さっぱり英語を忘れてしまったと言うのは体験的な言語習得がメインで読み書き等の論理的言語習得の期間がない、もしくは、短かった可能性が大いにあるのでしょう。

そして、日本における早期英語教育も同様に「継続」がとても重要な要素となります。親子共に継続した努力が必要であることを念頭に置き、英語教育を進めていきましょう。


最後に。

さわママ

早期英語学習は、親子共に負荷の高い取り組みである事は間違いありません。「英語学習の目的・ゴール」「家庭内でのルール設定」「いつから始めるのか?」「どのように進めるのか?」「日・英の割合」など事前に決めておくと、途中でブレることなく進められるのではないでしょうか。


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  • この記事を書いた人

さわ

日系航空会社から日系&外資系IT企業を経てイタリア育ちの中国人と国際結婚。息子が0歳から幼児教育・おうち英語&中国語・お受験学習・インターナショナルスクール・海外教育移住と色々経験。日本語・英語・中国語のトリリンガル子育てに関する情報発信ブログです♡
息子(8歳)と共にマレーシアのイギリス式インターへ母子教育移住中です。

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